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こんにちは! 元町駅 トアロード沿いにあります神戸北野Nデンタルクリニックの院長、中村誠基です。
今日はマウスピースとアスリートのパフォーマンスについて現在わかっていることと、私なりの考えをお話ししたいと思います。
スポーツにおけるマウスピースですが、ボクシングやアメフトなど接触の多いスポーツで装着しているのを見かけることが多いかと思います。マウスピースがあるから強く噛みしめることが可能になり、よりよいパフォーマンスが得られると思われている方もいらっしゃると思います。
実は、今の所マウスピースを装着したからといって明確に運動能力が向上したと言えるエビデンスはありません。現在明らかに言えるのは接触した時や、強く食いしばった時に歯や歯周組織にかかる力を分散させ保護する働きがある、ということぐらいなのです。
マウスピースがパフォーマンスに影響を与えているかどうかを考える時に私自身の考えもありますが、以下の問題点を孕んでいると考えます。
① 力を発揮出来るようなマウスピースを作ることは難しい。マウスピースを装着すると、噛み締めた時には1〜2mm以上の分厚いものを噛んでいるような状態になるため、通常とは異なる位置に顎が移動することになります。この状態においてしっかりと噛み合わせを調整すると、顎の位置(顎位)が安定した場所に誘導され、リラックスした状態となりこれが全身のバランスやリラックス効果の向上に繋がり、運動能力の向上が少なからず起きると考えています。
しかしながら、この噛み合わせを調整するのが非常に難しいのです。何をもって良い状態とするのか、どの部分にどれぐらいの力がかかっているのかなど可視化する方法が歯科ではあまり確立されていないのです。
② もし、マウスピースが明らかに運動能力の向上に優位であるとなった場合、マウスピースの装着が競技の助力に繋がってしまうため、そもそも規制される対象となってしまいます。ボクシングやアメフト、ラグビーなどのようなコンタクトスポーツにおいて装着義務があり、全員が一様に装着する、などでは問題ないと思いますが、特定の個人にだけ恩恵が出るような事態になってしまうと難しい部分もあります。
ちなみにスポーツする時に装着するマウスピースは大きく2種類あります。
よくあるタイプが上記のようなもので、ソフトな素材が使用されており歯の保護をメインに考えられたマウスピースになります。完全に噛み合わせを考慮したものは少なく、これで噛み締めたところで最も力が入る位置に調整されている訳ではありません。
もう一つがこのパターンで、スポーツ時よりは就寝時などの歯ぎしりや食いしばりから歯を守るために装着することが主です。こちらの方が噛み合わせの調整が容易で、力の発揮を考えた時に有用になる可能性があります。ただすり減りやすく、破損すると口腔内を傷つけてしまう可能性もあるため実用化させにく部分はあります。
ただ、瞬間的に力を入れる必要があるスポーツにおいては上手く調整することで多少のパフォーマンス向上に繋がっているのではないかとは考えております。それは直接的なものではなく、マウスピースにより保護されているという安心感が生まれ、精神的により良いパフォーマンスが出来るかもしれない、という観点です。
逆に、マラソンや短距離走など連続した動きが必要な競技においては、マウスピース装着が力みへと繋がり逆効果になる可能性があると私は考えています。 まだまだ、それに関する研究は目立ったものは少なく結論が出しにくいのが現状ではありますが…..。
私自身、陸上短距離をやっていたので自分でマウスピースを作製し100mなどを計測して実験をしたことがあります。その感想としては、走っている時には邪魔だな、と感じたぐらいで特にタイムなどに変化はありませんでした。100m疾走中にマウスピースを噛みしめる瞬間がなかったのも覚えています。 母数が少なすぎるのでなんとも言えませんが、もし気になる方はぜひマウスピースを試して頂き、結果など教えて頂ければと思います笑
とは言えマウスピースはコンタクトスポーツにおいて歯や歯周組織の保護などに大きな役割を果たすことは確かです。保護用のマウスピースが悪影響を及ぼすことはまずないと思いますので、それだけはご理解くださいね。
ちなみに当院でも保護用スポーツマウスピース作製は可能です! お気軽にご相談ください!
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